接客業でもっとも大切なのは、お客さんにどういった印象をあたえるか、ということでしょう。良い印象をあたえることができれば、また足を運ぼうという気持ちになりますし、固定客となってもらえれば、売上の向上が期待できます。
人の第一印象は、見た目に大きく左右されるものですから、手を抜くことなくお洒落やスキンケアを頑張っていくことも大切です。しっかりと手入れされた美しい髪、魅力的なファッションは、それだけで人の目を惹きつけるものでしょう。
しかし、見た目に気を使っているのは誰もが同じですから、そこから一歩抜き出るためには、さらなる気配りが必要ではないでしょうか。
人の心に大きく影響するもう一つの要素として、「香り」をあげることができます。香りが持つ効果は幅広く、たとえばアロマテラピーといった形で利用されることもありますし、スキンケア製品やヘアケア製品などの中にも香りをアピールする製品が多々あります。
良い香りがすると、人はリラックスした気持ちになったり、疲れが癒されたような気分になるものです。また、香りと記憶は密接に結びついているといわれており、これは脳の仕組みが理由となっています。
五感のうち、嗅覚だけが脳の本能を司っている部分に直接的な影響をあたえることができるというのがその理由です。視覚や聴覚は、一旦理性を司っている「大脳新皮質」を通り抜けてから情報として記憶されますが、嗅覚を通して感じた香りだけは、喜怒哀楽や本能と直結して記憶されるといわれています。
このため、香りは記憶として残りやすく、特定の香りをかいだ時シチュエーションやその時の気持ちまで呼び起こされるというのは誰しも経験があるのではないでしょうか。また本能と直結していることから、異性を惹きつけたり魅力をアップしたりという効果もあると考えられています。
こうした香りの作用を効果的に利用するためのアイテムが、フレグランス製品でしょう。たとえば、女性としての魅力を高めて異性にとって忘れられない存在になる、フレグランスにはそんな特別な効果が期待できるのです。
フレグランスには様々な種類の香りがありますが、接客業で好印象を与えるためにはどんなタイプの香りが最適でしょうか。
一言にフレグランスといっても、フローラル系、シトラス系、フルーツ系など様々なタイプの製品があり、どれが一番良いのか迷ってしまうものです。人にはそれぞれ生まれ持った体臭がありますから、同じ香水をつけても人によって違った香りになる場合があります。
どんなタイプが合っているかは、その人の持っている雰囲気や、もともとの体臭、コスメなどの香りとの兼ね合いなどで異なってくるでしょう。
相手をリラックスさせて、親しみやすさを感じて欲しいのなら、優しく清潔感のある、石けん風の香りが最適かもしれません。男性にとってほっとする香りであると同時に、女の子らしい可愛さも感じさせてくれるため、接客業にも適しているでしょう。
より活動的で明るい雰囲気を目指すのなら、さわやかでカジュアルなシトラス系がイメージに合いそうです。甘すぎず、クールすぎない香りは、友達感覚で接客をするタイプの方に適しているのではないでしょうか。また、フローラルやバニラといった女性らしさをアピールする甘い香りも、男性には好まれやすい傾向です。守ってあげたいような魅力を発揮したいのなら、思い切り甘く女の子らしさをアピールするのも、一つの手でしょう。
基本的に、これらの香りを嫌う人は少ないといわれていますので、自分のイメージに合うものを選ぶのが一番良いといえるでしょう。ただし、どのような香りであっても「香水をつけすぎている」「においが強すぎる」と感じさせてしまうと、途端に逆効果となってしまいます。とくに接客業で相手に好感をもたせるためには、なによりもまず「ナチュラル」さを心がけるのが大切ではないでしょうか。
たとえば、同じシトラスタイプのフレグランスでも、やや刺激的な印象を与えるものと、安らぎや落ち着きを感じさせるナチュラル系のものがあります。人によって似合う香りの傾向や種類は様々ですが、接客業においては、まずナチュラルさを一番に優先した方が良いかもしれません。
強すぎる香りや刺激的な香水は、相手に警戒心をもたせてしまい、接客でどんなに感じ良く明るく接しても、どことなく距離を感じさせてしまうでしょう。ほっとできる、安心感がもてるというのは、それだけ距離が近くなり、好感が高まっているということでもあります。接客業でお客さんと良い関係を築いていくためには、ナチュラルで、相手にとって居心地の良い香りをチョイスするのが最適でしょう。
人の心や記憶に大きな影響を与える「香り」は、使い方次第で様々なプラスの効果をもたらしてくれます。
自分の印象をアップするために、香りを効果的に利用することも重要な接客スキルの一つだと言えそうです。