キャバクラで働いていると、黒服とよばれるボーイ達の助けを借りることが多々あります。黒服は常にホールを動き回っていて、ドリンクやフルーツなどを運ぶだけでなく、何かトラブルやキャバクラ嬢に困ったことが起きれば、サッと助けに入ってくれるのです。
ボーイの質がそのキャバクラの質にも繋がると言われるほどお店にとって重要な存在となっており、キャバクラ嬢がスムーズに働くためにも黒服との連携をしっかり確認しておく必要があるのです。
黒服とキャバクラ嬢がやり取りをする場合、お客さんの目の前で堂々と話すわけにはいきません。もちろん聞かれても問題ない内容もありますが、中にはこれ以上お酒が飲めないのでグラスを小さいものに交換してもらうなど、お客さんに知られるとムッとされてしまうような内容もあります。お客さんを気分よくもてなすのがキャバクラ嬢の大切な仕事なので、できるだけ黒服とのやりとりはお客さんに察知されないように行うのがスマートとされています。
また、そういった理由だけでなく、キャバクラの店内では常に音楽がかけられています。会話の妨げになるほどの大音量ではありませんが、声で伝えてもうまく伝わらないこともあります。こういった時に役立つのが、指や手の動きを利用した特別なサインです。
キャバクラの世界では古くからこのように手の動きで必要な内容を伝える習慣があり、高級店から庶民的なお店までどこでも利用されています。手の動きを使えば、お客さんとの会話を中断することなく必要な時に必要なサポートをお願いすることができるので非常に役立ちます。
お店ごとに使用する手の動きは異なりますが、どこのお店でも必ず使用されるものなのでまずはこのサインをしっかり覚えることが最初の仕事だとも言えます。
具体的にどのような時にサインを出すかというと、まず多いのはおしぼりを持ってきて欲しい時です。サインの基本とも言え、お客さんがトイレから戻った時や食べたり飲んだりする時など、使う場面がかなり多いので頻繁に交換が必要になります。温かいおしぼりが欲しい時はタオルを絞るような動作を行い、冷たいものが欲しい時は両手で爪を合わせるようにします。お客さんが酔っ払い過ぎている時など、顔や頭を冷やすためによく使うので覚えておきましょう。
灰皿にタバコがたまってしまった時には、両手で輪っかを作って交換をお願いします。1本でも交換するよう徹底しているお店もありますが、多くは2本から3本になったら交換するよう指示されます。テーブルには灰皿が何枚か準備されているのですが、交換の際に灰がお客様に飛んでしまわないよう一番上に未使用の綺麗な灰皿で蓋をするようにしましょう。
ドリンクやフードを注文するためにメニューが必要な時は、両手でパタパタと本を開くような動きをします。黒服はメニューを持ってくる時に、高価なお酒や食べ物が記載されたページを開いて持ってくることもあるので、オーダーしてもらうためにもそのままお客様に渡しましょう。
ドリンクを頼んだ場合やグラスが汚れてしまった場合、グラス交換をお願いすることも多いです。キャバクラではお客様のグラスはゲストのタンブラーという意味でゲスタン、キャバクラ嬢のグラスはレディースなどと呼ばれます。ゲスタンが欲しい場合は人差し指と親指でいわゆるL字を作り、キャバクラ嬢用のグラスが欲しい場合は同じく人差し指と親指で厚みを表現するような形を作ります。ちょっとだけ、というような時にするジェスチャーだと言えば分かりやすいでしょうか。
直接メニューを見て黒服にドリンクを注文する場合は、何も言わなくても新しいグラスを持って来てくれるので特に何もする必要はありませんし、必要な場合はその場で黒服に口頭で伝えてしまいましょう。
何か道具が必要な時以外にも、サインは様々な用途で使用されます。
例えばお客様に気に入ってもらえて、他のキャバクラ嬢と交代することなくずっと話し続けたいと思ってもらえれば、場内指名という動きを出します。これを出せばテーブルに他の女の子を呼ばれることもなく、他のテーブルに行くように指示されることもないのでじっくり常連客作りにいそしむことができます。
場内指名の場合、両手でテーブルを2回抑えるような動きをすることが多いです。キャバクラは常にテーブルに配置する次の女の子を準備しているので、場内指名をしてもらえたら早めに黒服に伝えるようにしましょう。
また、お客様が急に帰る場合はお会計をお願いするためにサインを出します。一般的には時間制なので黒服が終了を告げに来た時に会計するのですが、急に帰らなければならなくなった時などは指で閉めるような動きをして会計を伝えます。これはキャバクラに限らず飲食業界で一般的に使われる動きなので覚えておくと便利です。
このように、キャバクラでは様々な動きでボーイに要求を伝えることができます。他にもその店独自の動きがあることも多いので、しっかり覚えるようにしましょう。