源氏名とは、紫式部の書いた「源氏物語」の登場人物430人の中で、本名を使っているのが6人のみで、残りの424人全員が通称や愛称を使っていたことから、キャバクラなどで使用する名前のことを源氏名と呼ぶようになったそうです。
キャバクラなどでは、本名が知られることで身元の特定がされないように、源氏名が使われています。
この源氏名、いったい誰が決めているのでしょうか?そして、キャバ嬢にとって源氏名が大切な理由とはどういったことなのでしょうか。
源氏名の付け方には大まかに分けて3つのパターンがあります。
1.本人が決める
女の子本人が決めるパターンです。
その当時に流行っているタレントやモデルなどの名前をつけたり、自分の特徴に合わせた名前をつけたり、以前に所属していたお店の売れっ子の名前をつけたり、中には好きな男性の名前をつけるという人もいるようです。
2.スタッフと女の子が話し合いの上、決定する
面接の後に、スタッフと女の子が話し合って決めるパターンです。
大抵は女の子の希望を優先して決めることが多いのですが、スタッフがその女の子のイメージに合った名前を提案しながら、少しずつ候補を絞っていき最終的に決まるということになります。
10代や20代の女の子の場合、本名とかけ離れたいわゆるキラキラネームをつける傾向があり、大人っぽさを感じる女の子の場合、あえて古風なタイプの名前をつけるといったように、スタイルや性格などから感じるイメージが基本となるようです。
3.スタッフが決める
お店によっては、源氏名をお店のスタッフが決めることもあります。
これはお店のカラーを統一させたいという狙いから、あらかじめ用意されている名前の中から決めているようです。
中には名刺を使いまわしできるように、退店した女の子の名前を引き継いでもらうケースもあるようです。
わざわざ源氏名をつけなくても良いのではないか?という意見もあるかもしれませんが、実はちゃんとした4つの理由があるのです。
1.身バレを防ぐ
キャバ嬢は、専属で働く人もいれば、大学や専門学校などの学校に通いながら働く人、または会社に勤めながらダブルワークで働く人など、様々な人達がいます。
親しい友人には話すことができたとしても、親兄弟や親戚や知人やクラスメイト、会社の同僚などには、「キャバ嬢をしていることを知られたくない」ということもあって、源氏名をつけることで、「身バレ」を防ぐようにします。
2.トラブルを回避する
本名を知られてしまうと、個人情報を調べる取っ掛かりとなってしまうので、例えばストーカーのような犯罪者に狙われるというトラブルを回避するために、源氏名をつけるという理由もあります。SNSの中には本名を登録するものもあるので、検索されるといろいろ情報が出てくることもあるためなのかもしれません。
3.もともとの自分とは違う人になるため
普段は物静かなキャラなのに、お店では明るくはじけたキャラを演じるといったように、キャバクラという非日常の中で自分をプロデュースするために、源氏名をつけるという理由もあります。
例えば作家がペンネームを変えて別々の作品を手がけるのと同じように、源氏名で呼ばれることで、もともとの自分とは違う人を演じることができ、お客さんの求めるキャラになりきりやすくなるメリットがあります。
4.精神の安定のため
本名と源氏名を使い分けることで、日常と非日常の境目をきっちりさせて、精神を安定させることが理由となるケースもあります。
源氏名の決め方にはコツがあります。これは、お客さんに覚えてもらうためにも大切なポイントとなるためです。
1.読みやすい漢字を使う
心愛(ここあ)などのように、すぐに読めないような漢字を使うのは、お客さんが読むことができず、結果的にお客さんの記憶に残らず、指名がもらえないということにつながりやすいため、できるだけ読みやすい漢字を使うようにしましょう。
2.間違えやすい名前にしない
先輩のキャストの中に似たような名前がある場合、お客さんから間違われやすくなってしまいます。
例えば「まり」と「まい」、「ゆみ」と「ゆい」、「みゆ」と「みう」といったように語感が似ていると「指名したのと違った子が来た」ということにもなりかねません。
先輩キャストの方も似たような名前で「紛らわしい」と、嫌悪感を示す可能性があるため、できるだけかぶらないような名前にしましょう。
3.自身のキャラに合わせましょう
「名は体を表す」という言葉があるように、不思議とその名前にふさわしい生き方になるという説もあります。
例えば好きなタレントの名前などを源氏名とした場合、あまりにも自身のキャラからかけ離れすぎていると、「名前負け」になってしまう可能性があります。
4.キラキラネーム
先述した心愛(ここあ)などのキラキラネームは、可愛らしいイメージもありますが、ギャルっぽい感じを受けたり、何よりも「読めない」「覚えられない」というデメリットがあります。
とはいえ、お店のカラーによっては、キラキラネームのほうがふさわしかったり、本人のモチベーションがアップすることもあるため、一概に良いとも悪いとも言えません。