水商売歴11年。歌舞伎町歴9年。
自らの城を築いた三遊亭めいが自店5周年を前に語る「想い」
歌舞伎町で知らぬものはいないであろう 三遊亭めい。キャバ嬢を経て誰しもが憧れる『牙城』を築き上げたオーナー。
どこか勝気で歯に衣着せぬ言動は、自らが生きてきた道を悔いていない者の証だろう。
しかし、そんな彼女にも苦悩と挫折はあった。
夢を追い、夜の世界に飛び込んだ彼女が語る華やかな時代・独立・妊娠・結婚・オーナーとしての今…。
『Tonight3』5周年を目前に控えたオーナー三遊亭めいが語る壮大なロングインタビュー。
————歌舞伎町らしい光景だね(笑)。お酒は好き?
めい:好きですね。でも、無くても生きて行ける。家ではまったく飲まないし。みんなでワイワイと飲むのが好きなんですよね。
————キャバ嬢になる前は、お酒は飲んでたの?
めい:いや、まったく飲んでなかったです。乾杯の仕方も知らなかったぐらいで。初めてキャバクラで働いた日も、お酒は乾杯をするということすらわかっておらず、ファミレス感覚っていうのかな…自分のお酒が来たら勝手に飲み始めていて…怒られましたよ(笑)。歌舞伎町に来るまではヤル気もなかったから、お店でもそんなに飲まなかったし。歌舞伎町に来て『ディバイン』で稼ぎ方をすごく教育されて、あ、こういうことをすれば売れるんだっていうのを実感しましたね。やること考えることはたくさんあるんですが、例えば、お客さんと一緒にたくさん飲むことだったり、誘われたアフターは断らないとか。そうして実践しているうちに、結果もついてきて、お酒もアフターも、それから仕事も、好きになったんですけどね。
————めいちゃんにとって、歌舞伎町とはどんな街ですか?
めい:優しい街だと思います。得体の知れない人とかが歌舞伎町に来て、生きられてるじゃないですか(笑)。人に言えない過去がありそう、みたいな人(笑)。やり直せる場所なのかなぁ…。あらゆる業態があって、働き口がいくらでもある。いいことも悪いことも。うちの店でも、他店さんでもよくありますけど、なにかやらかしてクビになった子や飛んだ子が、すぐに近くの違う店では働けちゃったり…何事もなかったかのように。逆に、面接来た子に対して、闇を抱えてそうでもそこを突っ込んだり掘り下げもしないし、ここから一緒に頑張りましょう、って思うし(笑)。みんなが生きやすい街だな、みたいな(笑)。
————誰でも受け入れてくれる街だ(笑)
めい:そうそう!受け入れる、受け入れる!(笑) この前もニコ生のコメントで『歌舞伎町って怖いの?』っていう質問が来たんですけど、女の子たち全員一致で『全然怖くないよね。常に誰か人がいるし、常に明りが点いてるし』って話題で盛り上がったところなんです(笑)。あと、私、歌舞伎町に来るまでは全然お金なんてなかったし、歌舞伎町に来てすぐに売れて、それが初めて売れたって感じで…そこが水商売が面白くなってきたポイントでもあったんですけど。
————そうだよね、みんなそれが目的で働いてるんだもんね。
めい:そうですよね。その時はオーナーに『お前今どれだけ貯金あるの?』って聞かれたんですけど、実はその時、私、借金を抱えてて『いや、むしろ借金あるんですけど?』みたいな(笑)。
————そうだったんだ?!それは何で作ってしまった借金だったの?
めい:最初は20歳の頃、海外の有名な演出家が来日しての、数日間のレッスンがどうしても受けたくて、それが10万だったんですけど、手元に10万円がなかったから、水商売でさっくり稼いですぐ辞めようと思って。それは親にも話してOKを貰ったんです。やたらと自立にはうるさい親だったから、手助けはしないよ、と。でも、やってほしくないからすぐに辞めてね、って言われてたから、ちゃんと辞めたんです。それが東大和のお店だったんですけど。でも、そのレッスンを受けてみて、やっぱり得られるものも大きかったし、お金がないことによって経験できてなかったことって多かったかもな、ってすごく思っちゃって。で、やっぱりお金が欲しくなって、隠れてコソコソと働いてたんですけど、髪の毛ちんちくりんで帰ったりするから、すぐに親にバレちゃって(笑)。それで親に『水商売を続けるんだったら、すぐに家を出ていって』って言われて、家を出ることになったんですけど。
————でも、10万のレッスン代も払っちゃったし、お金持ってないよね?
めい:そう。で、銀行も貸してくれないし、しょうがないからアットローンでお金借りて。でも、1回借りる癖がついちゃうと、また借りる癖がついちゃうし、ちゃんと返してると今度は限度額が上がって、それがあたかも貯金かのような気持ちになってきて(笑)。まだある、まだある、みたいな(笑)。
————銀行から引き出してる感じになっちゃうんだ?(笑)
めい:そうそう(笑)。それで結構使っちゃって、一人暮らしを始めたばかりだから家具も欲しいし、とか思っちゃって。だから歌舞伎町に来た時、貯金どころか借金があるって言ったら、すごいびっくりされましたね。
————その借金は、いくらまで膨らんだの?
めい:60万ぐらいかな?21歳で60万の借金は結構大きくて。歌舞伎町に来てからすぐに返し終えましたけどね。だから私、消費者金融に手を出そうとする子がいたら、絶対に止めるんですけどね。
————実際に女の子とかで、消費者金融から借りようとする子は多いの?
めい:歌舞伎町の子って、すぐに人からお金を借りようとしますよね。人に借りようとする子に関しては、逆に消費者金融に行けって話もします。だって、平気で借りて、返さないでしょ?誰かに借りて迷惑をかけるぐらいなら、ね。ま、私は絶対に貸しませんけど(笑)。どっちにしろ借りるなって話はしますけどね。まぁ、そんな借金持ちだった私でも受け入れてくれて、働き口があって、借金もすぐに返せる、優しい街、希望のある街ですよ。
————いちOLの私からしたら、不思議な感じがするんだけどね。だって、OLの私より絶対にいいお給料をもらってる訳でしょ?みんな何に使うんだろう?
めい:でも、売れてない子だったら、生活するだけでいっぱいいっぱいになる気もしますね。歌舞伎町に通いやすい場所に住むって、やっぱり家賃も高いと思うし。私は当初相模原の田舎に住んでいて、家賃四万でしたけど(笑)。キャバ嬢ってヘアメイク代もドレス代もかかるし、自分にお金をかけなきゃいけないところがたくさんあるから…。それに、歌舞伎町には美味しいものがたくさんあるし、魅力的なものや楽しい場所がたくさんあるし。
うちの店ではないですけど、キャバクラだったら、だらしない子には罰金がつきものだし、それが結構な金額なんですよね(笑)。
————女の子から相談されることって結構あるの?
めい:無くはないですね。あと、旦那が紹介会社をやってるんで、どこか紹介してほしいっていう子もたまにいるかな。
————『Tonight3』の従業員の子は、めいちゃんと同じく演劇やミュージカルが好きな人が集いやすいのかな?っていう印象も受けたんですけど、別に意識して集めた訳ではないの?
めい:いや、全然。今は二人芸能関係の子がいますけど、一人はみほで、もう一人はたまたまお客さんが『演劇やってる可愛い子いるよ』と紹介してくれて。『オーナーが同じ業界いたから理解あるよ』と言われて来てくれたみたいなんですけど。でも、うちは1週間おきにシフト提出で、完全自由出勤なんで、演劇やってる子っていつオーディションが入ってくるか分からないから、うちみたいな店だと働きやすいんじゃないかな?とは思ってます。チケット売ってなんぼの世界でもあるから、お客さんで興味を持ってくれた人がいたら買ってくれることもよくあるし。
————女の子の採用面接もめいちゃんがするの?
めい:最近は任せちゃったりしますね。ある程度お店にいた子だったら、みんなの感覚で合否つけてくれていいよ、と。面接の仕方やポイントは教えてあります。面接の段階では、一緒に並んで極端なブスではないことと(笑)、この子とは一緒に働きたくないと思わない限りは、そのまま体入させちゃっていいよ、とは言ってます。体入の時は、私も顔を出すようにはしてますけどね。面接で合否、体入後に合否、があります。
————逆に、不採用の基準ってあるの?
めい:見た目もそうだし、コミュニケーション能力もそう。面接時の印象が良くなかったら、考えちゃうところはありますね。面接って、その人の1番いい状態で来てると思うんですよ。よく見せようと頑張ってるはずたし。それで、格好がだらしなかったり、態度が悪い子、まったく喋らない子、的はずれなことばかり話す子は、ちょっとお帰り頂いてます(笑)。
————さすがオーナー。なかなか的確なところを突いてきますね(笑)
めい:でも女の子はいつだっていっぱい欲しいですよ!うち、正真正銘本当に自由出勤だから、絶対に働きやすいと思うんだけどなぁ。女の子たちみんな性格よくて仲良しだし。お客さん良い人ばかりだし。明るくて元気な子は、少しでも興味持ったらとりあえず応募してほしいです(笑)。とりあえずお店来てみてほしいです(笑)。これ、切実です!。
————分かりました。書いておきます(笑)話は変わりますが、お店を立ち上げてよかったなと思うことはありますか?
めい:いっぱいありますよ。自分がすごい舞台をやりたくて、お店がうまくいったら自分のお金で舞台をやりたいなぁ、という想いもあったんですけど、それは厳しいな、と思って。まぁ、子供も出来たし、今後舞台はほぼほぼやる機会はないんだろうなって思うんですけど、うちの店があることによって、夢を抱えた子たちが夢を追い続けられて、生活も出来ていて…人の夢を一緒に追ってるような気持ちになれるところがいいなって、すごく思いますね。あとは、自分がやりたいスタイルでお店づくりが出来ることは、すごく幸せなことだと思います。キャバ嬢時代はお店のカラーも考えなきゃいけなくて、例えば『コール強制』のお店もあったし、『コール禁止』のお店もあったし、静かなお店に勤めてるときは『めいの声がうるさい』と怒られてましたから(笑)自分のやりたい、自分のスタイルで、自分のペースで仕事ができるのは、すごい良かったと思いますね。
————そんなめいちゃんだからこそ、自分の店の女の子たちにも自由を与えられるんだよね。逆に、辛かったことは…でも、お店を立ち上げたことに後悔はしてないって言ってるから、ないかな?
めい:辛いこと…うーん、悩みや試練はいくらでもありましたけどね(笑)後悔は全くないし、やりがいしかないですよ。ただ、キャバ嬢の子たちに『お店を立ち上げることを考えてるんですけど』っていう相談は受けるんですけど、いつも言うのは、自分の例ですよね…『結婚したくなったらどうするの?子供出来たらどうするの?売上悪くなったらどうするの?いろんなシチュエーションを想定してから始めたほうがいいよ』とか話してるかな。私がそうだったように、きっと始める時って、勢いや想いは強くて、希望の塊だから、10年後まで冷静に見られなかったり、うまくいかなくなった時のことなんて頭に浮かばないもん(笑)お店をやって良かったな、とはもちろん思いますけど、キャバ嬢のほうが楽に大金稼げたな、とは思いますよ(笑)キャバ嬢の時は、苦手なお客さんがいたら席を外すことも出来たし、揉め事があれば黒服が対応してくれるし(笑)今は良いことも悪いことも全部受け止めなくちゃいけなくて…だから面白いんですよね。
波乱万丈なめいちゃんの半生はいかがでしたか?
苦悩と挫折を乗り越えて今では素敵な旦那さまとかわいいお子さん、元気なスタッフさんたちに囲まれてとても充実した毎日を過ごしているそうです。
これからも彼女の動向に目が離せませんね!
(追記)
2018年5月にめいさんが、歌舞伎町にラーメン屋をオープンしました!
こちらも記事にしてありますのでご覧ください。
Tonight3(トゥナイト3)
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